第12話
稲葉山
秀吉は信長に叱られた。
信長「マジで宣戦布告したの!?」
秀吉「は、はい。まずかったっすか?」
信長「まずいに決まってるしょや」
秀吉「そういうの、知らんくて」
信長「なしておれにちゃんと聞かんのさ〜」
秀吉「すいません」
信長「せっかく斉藤さんといい関係保ってたのに。あ〜ぁ」
秀吉「ごめんなさい」
信長「織田家が滅びたらサルのせいだからね(ぷんぷん)」
秀吉「宣戦布告、取り消してきます」
信長「今さら遅いよ。もうとことん戦うしかないね」
西暦1567年。信長は軍勢を率い、斉藤氏の城(稲葉山城)を攻撃した。
その戦闘中、秀吉は……
兵士「大将」
秀吉「……」
兵士「大将」
秀吉「ん。ああ」
兵士「なにボーッとしてるんですか?」
秀吉「いや、ちょっとね」
兵士「もう戦闘、始まってますよ」
秀吉「うん」
兵士「どうかしたんですか?」
秀吉「ちょっとへこんでるんだよね」
兵士「どうして?」
秀吉「信長さんに怒られちゃったな〜と思って」
兵士「過ぎたことは仕方ないですよ」
秀吉「まあね」
兵士「気分を切り替えて、さ、戦いましょう」
秀吉「う、うん」
稲葉山城を攻撃する信長の本陣。
信長「やべぇ。柴田、やべぇ」
柴田「はい」
信長「稲葉山城、ぜんぜん落ちない」
柴田「てごわいですね」
信長「1回、退く?」
柴田「退いたら再起は不可能ですよ」
信長「そうか……」
柴田「ここで勝たなきゃ未来はありません」
信長「どうやったら勝てる?」
柴田「敵を混乱させることができればいいんですが」
信長「その方法は?」
柴田「思いつきません……」
そのころ。信長の指揮下で稲葉山城を攻撃中の秀吉は……
秀吉「ダメだ」
兵士「なにがですか?」
秀吉「気分が切り替えられない!」
兵士「まだ気にしてるんですか? 叱られたこと」
秀吉「やっぱり斉藤さんに謝ってこよう」
兵士「今さらなんて謝るんですか」
秀吉「『あの宣戦布告はナシです。ごめんね』って」
兵士「もう遅いですよ」
秀吉「つきあって」
兵士「え?」
秀吉「謝りに行くの、つきあって」
兵士「なんで僕が」
秀吉「いいしょ。お願い。ね」
兵士「しょうがないですね。じゃ、行きますか」
秀吉「あ、待って。そっちじゃない」
兵士「え、稲葉山城はこっちですよ」
秀吉「でも、そっちは正門でしょ」
兵士「はい」
秀吉「恥ずかしいから、裏門から行こう」
ここは斉藤氏の稲葉山城。裏門。
斉藤一族1「裏門の警備ってさ、おれら二人だけ?」
斉藤一族2「うん」
斉藤一族1「なまら手薄じゃない?」
斉藤一族2「この裏門は山道からしか来れないから、敵は攻めてこないよ」
斉藤一族1「とかいって、攻めてきたらうけるよね」
斉藤一族2「あ、誰か来た」
斉藤一族1「げっ。織田家の大将だ!」
斉藤一族2「攻めてきた〜!」
秀吉「いや、ちょっと……」
西暦1567年9月。秀吉はわずか7人の仲間を連れて稲葉山城の裏門に姿をあらわした。
これにより斉藤氏は混乱し、稲葉山城は陥落した。
ここは信長の屋敷。
信長「サル、なかなかやるんでしょ」
秀吉「えへへ」
信長「おかげで岐阜県がおれのものになったよ」
秀吉「おめでとうございます」
と、そのとき、
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴った。
信長「ん。誰だろう?」
秀吉「誰でしょうねぇ」
西暦1568年のこの訪問者が、信長と秀吉の人生を大きく狂わせる。
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ありけん