第35話


 西暦1582年の後半。柴田勝家の息子は長浜城に入り、秀吉ににらみをきかせている。

秀吉「まいったな〜」

兵士「完全に監視下におかれてますね」

秀吉「このままだとおれ、いつ柴田ファミリーに滅ぼされてもおかしくないよね?」

兵士「はい」

秀吉「よし、こうなったら…」

兵士「どうするんです?」

秀吉「徹底的に柴田ファミリーのご機嫌をとろう」

兵士「でもそれだと秀吉さんのプライドが…」

秀吉「あ、雪」

兵士「本当だ。寒い季節になりましたね」

秀吉「キラリーン。ひらめいた!」

兵士「なんです?」

秀吉「柴田さんの息子さんって、長浜城に入ったばっかりで、城のこと、まだよくわかんないよね」

兵士「でしょうね」

秀吉「ストーブの場所、教えてあげようかな」

兵士「は?」

秀吉「長浜城のストーブってさ、わかりずらいところにしまってあるしょ」

兵士「ああ、ガレージの奥の奥でしたね」

秀吉「その場所を教えてあげるの」

兵士「親切ですね」

 秀吉は長浜城に電話をした。

 柴田勝家の息子が出た。

柴田の息子「はい。柴田です」

秀吉「秀吉です」

柴田の息子「おお。なした?」

秀吉「柴田さんは長浜城に引っ越してきたばっかりだから、その城のことよくわからないですよね?」

柴田の息子「え?」

秀吉「ぼくは詳しいです。必要ならいつでも伺いますよ」

柴田の息子「そ、それはもしかして…」

秀吉「はい?」

柴田の息子「『長浜城の構造は知り尽くしてるから、いつでも攻略してやる』ということか」

秀吉「え、いや…」

柴田の息子「たしかにこの城はもともとおまえの城だったもんな」

秀吉「そうですけど」

柴田の息子「でも来るなら来てみろ。おれには親父(柴田勝家)がついてる」

秀吉「わかってますよ」

柴田の息子「何かあったら親父がすぐに北陸から助けに来てくれるぞ」

秀吉「そうじゃなくて、ぼくが心配してるのは雪のことです」

柴田の息子「雪…」

秀吉「さっきから雪が降りはじめたでしょ」

柴田の息子「しまった!雪がふれば北陸にいる親父は馬で移動できない!」

秀吉「まあ、そんな話はいいんですけど」

柴田の息子「つまりおれは孤立無援か。むむ。これじゃ勝ち目はないな」

秀吉「なんの話ですか」

柴田の息子「やむをえん。降参する!」

秀吉「えっ」

 秀吉は柴田勝家の息子を懐柔し、戦わずして長浜城を取り戻した。秀吉の手腕に人々は驚嘆した。

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ありけん