第9話
桶狭間

 秀吉と今川義元の会話のつづき……

秀吉「モノマネうまいね〜。おれ的にかなりヒットです」

今川「モノマネじゃないし……」

秀吉「誰が見てもだまされるよ。本物の今川義元だと思っちゃうもん」

今川「そりゃそうだよ、だって……」

秀吉「信長さんも、だまされるかな?」

今川「え?」

秀吉「試してみよう」

今川「ちょっと、どこに電話するの?」

 秀吉は信長のケータイに電話をした。

秀吉「もしもし。秀吉です」

信長「あ、サル。この忙しいときに何やってるのさ」

秀吉「面白いもの見せてあげますよ」

信長「面白いもの?」

秀吉「今、僕のとなりに今川義元がいるんですよ」

信長「はぁ?」

秀吉「今川義元」

信長「ほんとっ?」

秀吉「はい」

信長「今、どこ?」

秀吉「場所は……」

 秀吉は現在位置を説明し、電話を切った。

秀吉「ふふふ。信長さん、来るって」

今川「来るの!?」

秀吉「どこまでだませるかな。今川義元で通してね」

今川「当たり前でしょ。だっておれ本物だもん」

秀吉「そうそう、その調子」

今川「あ、むこうから軍勢が!」

秀吉「信長さんだ♪」

 西暦1560年5月19日。織田信長は今川義元の本陣の位置をつかみ、  そこに戦力を集中的に投入して勝利した。(桶狭間の戦い)


 全国の戦国武将のリアクションは……

戦国武将1「今川義元がやられた!」

戦国武将2「うそぉ? 今川義元って強くなかった?」

戦国武将1「強かった」

戦国武将2「誰にやられたの?」

戦国武将1「織田信長っていう人」

戦国武将2「聞いたことないね。どこの人さ?」

戦国武将1「愛知県」

戦国武将2「何歳?」

戦国武将1「若いよ。25、6歳」

戦国武将2「えっ。そんな若いのに名門の今川義元をやっつけちゃったの?」

戦国武将1「そう」

戦国武将2「生意気だね」

戦国武将1「うん。いきがってるね」

 こうして織田信長の名が歴史に登場した。


 ここは愛知県。織田信長の屋敷。

信長「おれ、デビューしたね〜」

柴田「しましたね」

信長「鮮烈に歴史にデビューしたね〜」

柴田「でも、ひとつ困ったことが……」

信長「?」

柴田「全国の戦国武将が『信長、いきがってる』説を唱えています」

信長「まぁいいじゃん。言わしとけば」

柴田「でもこのままだと袋叩きにあいますよ」

信長「じゃあ、どうすりゃいいのさ?」

柴田「優秀な人材を募集して、戦力を固めるべきです」

信長「優秀な人材がおれみたいな一発屋んとこに来てくれるかな……」

柴田「大丈夫です」

信長「というと?」

柴田「サルを利用するんですよ」

信長「あいつ、優秀な人材なの?」

柴田「いえ、サルはぜんぜん優秀じゃないですが……」

信長「うん」

柴田「あいつを都合よく利用させてもらいます。ふふふ」

信長「出たね、悪者の笑い方」

柴田「はい。織田家のためです。ふふふふ」

 秀吉は織田家の陰謀に巻き込まれてゆく。


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ありけん