第19話
皇居の造営
土地問題で武士の信用を失った後醍醐天皇は……
天皇「やべぇ。おれ、信用ない人だと思われてきた」
側近「権威失墜ですね」
天皇「一気に権威アップする方法、ないかな」
側近「そんな楽な方法ありませんよ」
天皇「あ、いいこと考えた。エジプトの人のマネすればいいんでない?」
側近「え?」
天皇「エジプトの人ってさ、三角のでっかい建物つくって権威を示したんでしょ?」
側近「はい」
天皇「おれも、なんかでっかい建物つくって、権威示そうかな〜」
側近「たとえば?」
天皇「おれの家をでっかく建て替えるとか」
側近「皇居をですか?」
天皇「うん」
側近「それこそブーイングですよ」
天皇「楠木くんの意見も聞いてみよう。楠木くんは?」
側近「京都の街を探検するって、出て行きました」
後醍醐天皇の入京とともに楠木兄弟も京都で新生活を開始していた。
七郎「兄ちゃん、どこ行くの?」
楠木「京都の街を探検するの。一緒に来る?」
七郎「でも京都って大都会だよ。迷子になったら困るしょ」
楠木「おれがついてるから大丈夫。さ、行こう」
楠木兄弟は京都の街へ繰り出した。しかし、雑踏の中で二人ははぐれてしまった。
京都の人1「あそこにいるの、楠木正成だよね?」
京都の人2「あ、ホントだ。ひとりで何やってるんだろ」
京都の人1「すっごいキョロキョロしてるね」
京都の人2「ぜったい助け求めてる顔だよね」
京都の人1「うん。泣く直前の顔だ」
京都の人2「きっと道に迷ってパニックなんだよ」
京都の人1「どうする? 道、教えてあげる?」
京都の人2「そうだね」
京都の人1「あ、待って。楠木さんの顔、明るくなった」
京都の人2「向こうから弟の七郎さんが来たね。よかった」
京都の人1「なまらダッシュで弟んところ行ったよ」
京都の人2「よっぽど心細かったんだね」
七郎「兄ちゃん。探したよ」
楠木「七郎ぉ〜。迎えに来たよ」
七郎「いや、僕が迎えに来たんだけど」
楠木「心配したよ。さあ、一緒に帰ろう」
七郎「僕のほうこそ心配したよ。兄ちゃん、急にはぐれるんだもん」
楠木「おれは平気だったよ」
七郎「でも、泣きそうでしょ」
楠木「いや、ぜんぜん」
七郎「迷子んなってビビッたの?」
楠木「違うって。これね、感動してるの」
七郎「感動?」
楠木「あれ、夕日、見てみ。きれいでしょ」
七郎「きれいだけどさ」
楠木「あれに感動してたの」
七郎「そんな切羽詰った顔で感動しなくてもいいしょ」
楠木「つねに全身全霊なんだよね、おれ」
七郎「これからは迷子にならないように気をつけてよ」
楠木「だから迷子じゃないって」
七郎「わかったよ。わかったから」
楠木「なにその、信じてないオーラむんむんな言い方。も〜。ぷんぷん」
そして。
天皇「楠木くん。あのね……」
楠木「はい」
天皇「おれ、家をでっかく建て替えたいんだけど、ダメかな?」
楠木「なんですか、天皇さんまで!」
天皇「え?」
楠木「家をでっかくしたら僕が迷うと思ってるんですか?」
天皇「なに?」
楠木「ぜったい迷いませんよ。いくらでもでっかくしてください! ぷんぷん」
天皇「……わ、わかったよ」
天皇と側近の会話。
側近「皇居を建て替える件、楠木さんは何と?」
天皇「ものっすごいキレながら賛成してくれた」
側近「は?」
西暦1334年。後醍醐天皇は皇居の造営を開始した。天皇への批判はますます高まっていった。
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ありけん