第2話
元弘の変

 楠木正成はハローワークの紹介で天皇のもとを訪れた。

 そして、面接。

天皇「(履歴書を見ながら)えーと、楠木さんね」

楠木「はい。ハローワークの紹介で来ました」

天皇「反乱の経験は?」

楠木「いえ、ありません」

天皇「経験なし、かぁ」

楠木「でも、頑張りますんで」

天皇「英雄志望なの?」

楠木「はい」

天皇「でもねぇ、英雄になれるのって、1回の反乱でせいぜい一人いるかいないかだよ」

楠木「わかってますけど一応、夢はでかくってことで」

天皇「現場、けっこうドロ臭いよ」

楠木「覚悟してます」

天皇「じゃあ、まあ、人手も少ないことだし」

楠木「はい」

天皇「明日から働いてもらおっかな」

楠木「ありがとうございます!」

 楠木正成は天皇(後醍醐天皇)の挙兵に参加し、鎌倉幕府に反抗する立場を取った。


 鎌倉幕府のようす。

幕府「いや〜信じられん。あの天皇信じられん」

家臣「マジで反乱起こしましたね、天皇」

幕府「しかも続々と仲間集めてるしょ」

家臣「『幕府vs天皇』って感じで、思いっきり日本分裂ですね」

幕府「幕府が勝つに決まってるけどね」

家臣「ですね」

幕府「じゃ、鎮圧して」

家臣「ん」

幕府「反乱、鎮圧して」

家臣「僕がですか?」

幕府「当たり前でしょ」

家臣「えー。しんどいなぁ」

幕府「しんどいって言うな」

家臣「じゃあ、こうしましょう」

幕府「?」

家臣「僕、これから体調管理を怠って風邪をひきます」

幕府「う、うん」

家臣「だから、違う人にやらせてください、鎮圧」

幕府「でも、誰にさ」

家臣「エリート武士の足利高氏とか」


 足利高氏(のちの尊氏)の屋敷。

足利「見たまえ。幕府からメールだ」

部下「スパムですか?」

足利「出動要請だ」

部下「ほう」

足利「京都のほうで天皇が反乱を起こしたらしい」

部下「天皇が?」

足利「それをすみやかに鎮圧しろ、と」

部下「足利さんはみんなに頼られて大変ですね」

足利「なぜなら、エリートだからね」

 足利高氏は鎌倉幕府の要請を受け、反乱鎮圧のために出動した。


 ここは天皇の反乱の本拠地・笠置山(かさぎやま)。

楠木「あのぉ」

天皇「なに?」

楠木「おれ、なにしたらいいっすかね?」

天皇「あ、きみね、第二基地」

楠木「第二基地?」

天皇「うん」

楠木「第二とかあるんすか?」

天皇「うん」

楠木「本格的ですね」

天皇「この笠置山が第一基地で……」

楠木「はい」

天皇「もうひとつのほうが、第二基地」

楠木「もうひとつのほうって、どこです?」

天皇「じゃあ……赤坂城でいいや」

楠木「赤坂城?」

天皇「ここずっと真っすぐ行ったら、赤坂城ってあるから」

楠木「はい」

天皇「そこ、第二基地にしよっか」

楠木「それ、今決めたんですか?」

天皇「……最初から決まってたよ」

楠木「今決めた雰囲気、全開なんですけど」

天皇「ははは。まさか。すべて計画的だよ」

楠木「……」

天皇「きみ、第二基地のリーダーやってね」

楠木「リーダー!」

天皇「ね、英雄っぽいしょ」

楠木「いいですね〜」

天皇「じゃ、がんばって」

楠木「ちなみに、質問なんですけど」

天皇「うん」

楠木「敵の数って、多いんですか?」

天皇「ま、なんだかんだで、10万近いかな」

楠木「大軍ですね」

天皇「楠木くん。きみには1000人の兵士を与えよう」

楠木「せ?」

天皇「第二基地はまかせた。存分に戦いたまえ」

楠木「いや、戦いたまえ、って」

天皇「なにか?」

楠木「1000人、少なすぎません?」

天皇「だって、第一基地もあっぷあっぷしてるしさ」

楠木「ぜんぜん計画的じゃないっすよ、それ」

天皇「うまいこと言うね。頭いい。きみなら勝てる」

楠木「励ましが投げやりですね」

天皇「まあ、そんなわけさ、がんばって」

 楠木正成は赤坂城に移動した。

 西暦1331年9月。楠木正成、赤坂城で挙兵。


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ありけん