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第11話
神様に電話

イスラエルのマスコミの会話。

マスコミ1「ダビデ王の発表、聞いた?」

マスコミ2「遷都の発表でしょ」

マスコミ1「そう。首都をイェルサレムに移すらしいね」

マスコミ2「うん」

マスコミ1「でも、たしかイェルサレムって、外国の領土だよね?」

マスコミ2「うん、そうだよね」

当時、イェルサレムの街は、イスラエル国内にありながらもエブス人という外国人の領土だった。

マスコミ1「外国の領土を首都にするって、どういうつもりなのかな」

マスコミ2「わかんないね」

マスコミ1「意外とさ、ダビデ王、あの街が外国の領土だって知らなかったりしてね」

マスコミ2「ふふ。まさかぁ」

マスコミ1「でさ、『イスラエルの真ん中らへんだから』とかいう理由で単純に選んでたりして」

マスコミ2「それだったら、だめだめ王だね」

マスコミ1「うん」

マスコミ2「でも、そんなわけないよね」

マスコミ1「そうだね。ダビデ王にかぎってね」

マスコミ2「やっぱ、戦争するつもりかな?」

マスコミ1「だろうね。戦争やって、イェルサレムを占領して、そんでそこを首都にするつもりなんじゃない?」

マスコミ2「ダビデ王にインタビューしてみるか?」

マスコミ1「うん」


というわけで。インタビュー。

マスコミ「今日はどうも、お忙しいところすいません」

ダビデ「いえいえ」

マスコミ「さっそくですが、今度の戦争についてですが…」

ダビデ「戦争?」

マスコミ「はい。戦争」

ダビデ「いや、戦争じゃなくて、遷都(せんと)」

マスコミ「いえ、ですから…」

ダビデ「知らなかったしょ?」

マスコミ「なにがですか?」

ダビデ「遷都っていう言葉、知らなかったしょ?」

マスコミ「いえ…」

ダビデ「僕、知ってるんだよ。字も、練習中ださ」

マスコミ「ていうか…」

ダビデ「今さ、心の中で『戦争じゃなくて遷都かよっ。勘違いしてた』って思わんかった?」

マスコミ「思ってないですよ」

ダビデ「で、『ていうか…』とかいって、ごまかそうとしたしょ」

マスコミ「してないですって」

ダビデ「大丈夫。誰にも言わんから、あんまり」

マスコミ「……とにかく、戦争についてお聞きしたいんですが」

ダビデ「だから〜、戦争なんてしないよ」

マスコミ「でも、首都をイェルサレムに移すんですよね?」

ダビデ「うん」

マスコミ「イェルサレムは外国の領土ですよね?」

ダビデ「?( ゜o ゜)」

マスコミ「今の顔、なんですか?」

ダビデ「べ、べつに…」

マスコミ「もしかして、イェルサレムが外国の領土だって、知らなかったんじゃ…」

ダビデ「え、いや…」

マスコミ「まさか、そんなことないですよね?」

ダビデ「そ、そんなことないよ」

マスコミ「じゃあ、インタビューをつづけますね」

ダビデ「…はい」

マスコミ「顔色、悪いですよ」

ダビデ「大丈夫です(-_-;)」

マスコミ「未知の衝撃に襲われた顔してますよ」

ダビデ「だ、大丈夫です」

マスコミ「イェルサレムと戦争して勝てる自信は?」

ダビデ「だって、どっちみちイェルサレムって、小さい街でしょ」

マスコミ「小さいですけど…」

ダビデ「なんか、すぐ勝てそうでない?」

マスコミ「でも、難攻不落の要塞ですよね」

ダビデ「!( ̄□ ̄;)」

マスコミ「今の顔、なんですか?」

ダビデ「べつに…」

マスコミ「すごい顔しましたよね、今」

ダビデ「ぜんぜん…」

マスコミ「あ! わかった!」

ダビデ「なにが?」

マスコミ「今のすごい顔は『よーし、やるぞ!』ていう気合の顔ですね」

ダビデ「い、いや…」

マスコミ「戦争、頑張ってくださいね」

ダビデ「いや、その…」

マスコミ「ダビデさんがイェルサレムを攻めること、大々的に報道しますから」

ダビデ「え、ちょっと…」

マスコミ「では、さようなら〜」


その夜。

ダビデは神様のケータイに電話した。

ダビデ「もしもし、神様ですか? ダビデですけど」

神様「おー。君のほうから電話くれるとは思わなかったよ。電話、苦手なんでしょ?」

ダビデ「どうしても困ったことがあってさ」

神様「なに?」

ダビデ「知りたいことがあるんだけど、わかるかなぁ」

神様「なんでもわかるよ。うちの書斎、本すっげーから」

ダビデ「ほんと?」

神様「うん。いろんな本あるよ。フランス語の文法、2週間先のテレビ番組、宇宙生活で筋肉が退化しない方法、爆弾の解除のしかた、青いバナナをおいしく食べる料理法などなど」

ダビデ「じゃあ、要塞の攻め方は?」

神様「それはちょっと」

ダビデ「ァァ(´Д`)」

神様「ひさしぶりに会いたいね」

ダビデ「でも僕、戦争で忙しいからなぁ」

神様「戦争、いつごろ終わりそう?」

ダビデ「えー。わかんないけど、1ヶ月後とかかな」

神様「じゃ、ちょうど今から1ヵ月後のランチ、一緒に喰うか」

ダビデ「わかった」

神様「あ、おれ、彼女つれていくかも」

ダビデ「え。彼女、できたの?」

神様「いや、まだだけど、もうすぐ恋愛玉もらえるからさ」

ダビデ「そっかぁ」

神様「スゲェいちゃいちゃしたらゴメンね」

ダビデ「いいけど…」

神様「『バカップル』って書いたハチマキしていったらゴメンね」

ダビデ「許さない」

神様「いや、ペアルックだよ」

ダビデ「もっとやだ」

神様「でも色違いだよ」

ダビデ「だめ」

神様「で、待ち合わせ場所は?」

ダビデ「日の当たる丘」

神様「日の当たる丘?」

ダビデ「うん。いつもポカポカのあったかい丘があるんだ」

神様「OK」

ダビデ「あー。やっぱ電話で話すのって落ち着かない」

神様「まぁ、もうちょい話そうよ」

ダビデ「いや、切るよ」

神様「まぁ、待てって」

ダビデ「じゃあね。ばいばい」

神様「あ、あぁ。またね」


一方。イェルサレムのエブス人は。

エブス人1「大変だ」

エブス人2「どした?」

エブス人1「イスラエルのダビデ王が、攻めてくるってさ」

エブス人2「なんで?」

エブス人1「やっぱ、ここってさ、ヨルダン川が近いし、水路の要衝でしょ」

エブス人2「うん」

エブス人1「あと、陸路でも重要なポイントだし」

エブス人2「そうだね」

エブス人1「だから、ダビデ王はここを新首都にしたいらしいよ」

エブス人2「なるほど。ダビデ王って、いろいろちゃんと考えてるんだね」

エブス人1「うん。頭いいかも」

エブス人2「そんな頭いい人だったら、てごわいんじゃない?」

エブス人1「でも、ここイェルサレムは三方を山で囲まれた天然の要害でしょ」

エブス人2「そうだね。難攻不落だもんね」

エブス人1「それに、おれたちには秘密兵器がある」

エブス人2「秘密兵器?」

エブス人1「うん。これさ」

エブス人2「おお!すげぇ!」

秘密兵器、恐るべし。


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