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第6話
就職活動

ダビデは先ほどの出来事を神様に話した。

神様「やばいよ」

ダビデ「なにが?」

神様「それって本物の暗殺者だよ」

ダビデ「いや、だから、”暗殺者”って書いて”やまだ”って読むんだよ」

神様「そんな読み方しないよ」

ダビデ「だって、例えば、”本気”と書いて”マジ”と読むしょ」

神様「それとは違うよ」

ダビデ「…そういえば、僕の知ってる山田さんは、あんな顔じゃないなぁ」

神様「気づくの、遅っ」

ダビデ「でも、誰が僕の命を狙ってるんかな?」

神様「そりゃ、王様でしょ。サウル王」

ダビデ「なしてさ。僕、なんも悪いことしてないのに」

神様「君の人気を妬んでるんだよ」

ダビデ「………」

神様「戦おう」

ダビデ「引っ越そう」

神様「え?」

ダビデ「引っ越し屋さんに電話しよう」

神様「なんでだよ」

ダビデ「王様に目ぇつけられたんだよ。この国じゃ、もう生きていけないよ」

神様「引っ越すって、どこにさ」

ダビデ「サウル王の追っ手が来ないところ」

神様「じゃあ、海洋民族の国は?」

ダビデ「海洋民族?」

神様「うん。この前までこのイスラエルの街を包囲してた人たちの国だよ」

ダビデ「ああ、あの、巨人さんのいた国?」

神様「うん」

ダビデ「でもあそこ、イスラエルの敵じゃん」

神様「だからこそいいんだよ。サウル王も、君がまさか敵国に逃げ込んでるとは思わないしょ」

ダビデ「でも、敵国に行ったら、僕、いじめられるんじゃない?」

神様「正体を隠して生活すればいい。軽く変装して」

ダビデ「女装?」

神様「いや、女装じゃないよ」

ダビデ「でも、ときどき女装でしょ?」

神様「違うって」

ダビデ「まあいいや。とにかく急ごう」

神様「それより、むこうに行ったら、仕事探さないとね」

ダビデ「あ。そっか」

神様「君の仕事は羊飼いだけど、羊たちを一緒に連れて逃避行するわけには、いかないもんね」

ダビデ「新しい職場って、緊張するよね。なじめるかなぁ」

神様「うまく仕事が見つかればいいけど…」

ダビデは正体を隠して敵国ペリシテに入った。


そして。

ここはペリシテ5大都市のひとつガテ。

敵の王「うちに就職したいって?」

ダビデ「はい」

敵の王「いやぁ、ごめん、仕事ないわ」

ダビデ「なんでもしますから」

敵の王「ここんとこ、新入社員、とってないんだよね。景気悪くてさ」

ダビデ「なんとか、お願いします」

敵の王「とりあえず、名前は?」

ダビデ「ダビっ…」

敵の王「え?」

ダビデ「ダビッ…ド。デビッドです」

敵の王「デビッドね」

ダビデ「はい」

敵の王「なんか、資格ある?」

ダビデ「普通免許。オートマ限定で」

敵の王「うち、マニュアル車なんだよね、全部」

ダビデ「外回りが無理なら、事務とか、空いてないっすか?」

敵の王「パソコンできる?」

ダビデ「はい。開いたウィンドウ、閉じれませんけど」

敵の王「うーん。厳しいね」

ダビデ「ダメですか?」

敵の王「なんか、売りはないの? セールスポイントみたいな」

ダビデ「あ。ありますけど…」

敵の王「なに?」

ダビデ「でもな、これ、言っちゃっていいのかな」

敵の王「えー。すげー気になるじゃん。なにさ?」

ダビデ「巨人をやっつけたことがあります」

敵の王「ケンカで?」

ダビデ「はい」

敵の王「やるねー」

ダビデ「おかげで僕、イスラエルではちょっとした有名人なんすよ」

敵の王「イスラエル?」

ダビデ「やばっ!」

敵の王「……もしかして、おまえ、ダビデ?」

ダビデ「……ですかねぇ?」

敵の王「だよね? ダビデだよね?」

ダビデ「やっぱ、わかります?」

敵の王「わかるさ。おまえ、敵国イスラエルの英雄ダビデだよ」

ダビデ「ばれましたね。じゃ、逃げます」

敵の王「あっ、待て!」

ダビデ「さよなら〜〜」

ガテのアキシュ王のところに身を寄せようとしたダビデだったが、正体がばれて逃走した。

将来、イスラエルの偉大な王となる男が、このときは祖国と敵国に追われ、その日の食べ物にも困る流浪を強いられた。


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