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第12話
どっちが偉い?

 幕府が去ったあとの楠木兄弟の会話。

七郎「幕府さん、去ってったね」

楠木「とりあえず抜け道、ふさいどくか」

七郎「そうだね」

楠木「でもさ七郎、どうする?」

七郎「どうするって?」

楠木「このまま反乱続けて、後悔しない?」

七郎「兄ちゃんについてく」

楠木「そうか。」

七郎「うん」

楠木「じゃ、履歴書、持ってきて」

七郎「書くのかよ!」


 幕府のようす。

幕府「ただいま〜」

家臣「もー。心配しましたよ」

幕府「今度、楠木が履歴書持って来たらさ」

家臣「はい」

幕府「就職の世話、してやって」

家臣「え、敵なのに?」

幕府「楠木がこっちに転べば、天皇勢はガタガタになる」

家臣「なるほど」

幕府「うっしっしっしっしっし」

家臣「おもしろい笑い方ですね。いいな〜」

幕府「じゃあ特別にマネしていいよ」

家臣「ではお言葉に甘えて。うっしっしっしっしっし」


 ここは鳥取県。後醍醐天皇がたてこもる船上山。

天皇「さっきのニュース、見た?」

側近「見ました」

天皇「またおれのこと、バカって言ってたね」

側近「言ってましたね」

天皇「天皇中心の政治って、そんなに変な夢?」

側近「どうでしょう。遠大すぎるのかも」

天皇「あんね、じつはさ、これ、おれ一人の夢じゃないんだよね」

側近「?」

天皇「死んだ父ちゃんとおれの、二人の夢でさ……」

 以下、回想シーン。

 今から12年前(西暦1321年)

天皇の父「くらえ、父キーック!」

天皇「うぎゃ。痛いな〜」

天皇の父「息子よ。おれとおまえ、どっちが偉い?」

天皇「は?」

天皇の父「おれは天皇を引退して、現在は上皇だ」

天皇「うん」

天皇の父「おまえは現役の天皇だ」

天皇「うん」

天皇の父「どっちが偉い?」

天皇「そりゃ、政治の実権があるのは……」

天皇の父「あるのは?」

天皇「父ちゃんだよね、悔しいけど」

天皇の父「そう。西暦1086年以来、実権は上皇にある」

天皇「だからなんだよ」

天皇の父「おまえはお飾りだ」

天皇「だからなにさ」

天皇の父「父パーンチ!」

天皇「痛っ。やめろって〜」

天皇の父「おれのほうが偉いんだ。文句いうな」

天皇「でもおれは現役の天皇だぞ」

天皇の父「うるさい。息子のくせに」

天皇「なんだよ、引退したくせに!」

天皇の父「よし、そこまで、ストップ」

天皇「え?」

天皇の父「と、このように、ケンカが始まったわけだが」

天皇「う、うん」

天皇の父「このケンカの原因はなんだ?」

天皇「あんただよ」

天皇の父「違う。根本の原因はべつにある」

天皇「根本の原因?」


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